そもそも、アイディアに著作権なんてないから

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2018年4月19日木曜日

冷たい鳥

 ○ナナの笑い声。多分お付きのフクロウと話している。そして多分水辺かなんか。

ナナ「ふふ、そうね…。」
リュート「姫、こちらにいらしたのですか。」
ナナ「リュート。あのね、さっきね――冷たい鳥が居たの…。」

リュート「冷たい鳥…?」
ナナ「美しさのあまり誰も近づけず――孤独に濡れているように見えたの――きっとあの子の心は冷たいわ――」
リュート「(ふっと笑う)…お優しいのですね」
ナナ「優しい…沢山の人を見ている貴方がそう言うのならそうなのでしょう――私にはこれが普通ですのでわかりませんわ…」

 ○フクロウを見つめているナナをチラッと見つめるリュート。ちなみにここでナナの耳のほくろ…耳にほくろって細かすぎだろ、なんかほかにないかな?

 ○王様がやって来る

王「リュート! 貴様お主、また昇級試験を断ったそうだな。責任を取るのがそんなに嫌か!」
リュート「閣下、お言葉ですが私には騎士隊長となれるほどの知恵はございません。それに、幼き日に呪われている身ゆえ、高い身分は相応しくありません」
ナナ「リュート、面を上げてください。あなたの剣の腕は他の者に劣らないし、人格としても申し分ないと思うわ。」
リュート「私の呪いはそう簡単に…」
王「そうだ、知恵も大切だが、人格が大切だ。呪いだって、疼いたこともないではないか」
リュート「お聞きください。最近、私の半身が騒いでいます。魔物が襲いに来る前兆かと存じます」
王「何だと」
リュート「城の警備の強化と――お二人への警備の強化を」
王「うむ。」

 ○夜。

リュート「――以上みんな配置に着いてくれ」
兵士たち「おう」

 ○ジノが近づいてくる

ジノ「リュート」
リュート「ジノか。お前は姫様の護衛だ」
ジノ「リュート、呪いは大丈夫か」
リュート「…日に日に強くなっている。いま、この時も…うっ!」
ジノ「リュート!!」

 ○リュートの顔面半分がドロッと溶ける。

リュート「うっ…すまない、夜風に当たってくる」
ジノ「リュート…くっ…。」

 ○風呂に入っているナナ。

 ○外から怪しい気配。目のようなものが光る。

ナナ「! リュート、リュート!」

 ○護衛のフクロウが真剣な表情になる。忍者たちが戦うが、人数が多すぎた。

ナナ「!」
リュート?「姫、こちらへ!」

 ○リュートの手が伸びる。

ナナ「リュート!?」

 ○ナナがリュートの手を掴むと、煙がただよい、ナナは気を失う。それを抱きとめ、アーカムの笑う顔。

 ○キーンコーンカーンコーン。チャイムの音。

モブ「翔太、帰ろうぜ」
モブ「おー」

 ○モブの笑い声

 ○コウタがちょっと寂しそうに、おっとりした顔で鞄をしめる。

広瀬「コウタ」
コウタ「!」

 ○広瀬。ギターをかついでいる。

コウタ「広瀬君! 一緒に帰れるのかい?」
広瀬「行こうぜ」

 ○帰り道。車の音。

 ○二人は黙って歩いてる。

広瀬「…学校はどうだった?」
コウタ「うん、欠席もいなかったし、先生もいつも通り…分からないとこはなかったよ」
広瀬「そうじゃなくて…」
コウタ「大丈夫。もう、誰とも喋らないようにしてるから」
広瀬「…そっか」

 ○モブが後ろからチャリでやってくる。コウタ、とっさに広瀬の後ろに隠れる。

モブ「おー広瀬じゃーなー」
広瀬「じゃあなー」

 ○モブ去る。

コウタ「広瀬くんはすごいなあ。友達たくさんいるし、勉強もすごくよくできるし、ギターもうまいし…」
広瀬「お前ほどじゃねえよ」
コウタ「え? 僕は勉強…」
広瀬「そうじゃなくて。お前ほど凄くねえってこと」
コウタ「…チェスのこと? あれは…親がやらせてるだけで…」
広瀬「チェスのことでもねえよ。まあいいや。じゃあ、また明日な」
コウタ「…うん。」

 ○うつむきながら歩くコウタ。

コウタ「…なんでだろう。広瀬君と話してると、胸がドキドキする。どうしてなんだろう。」

 ○ドアの音。

コウタ「ただいま」
コウタの母「あら、お帰り。もう帰ってきたの」
コウタ「今日から部活休みだよ」
コウタの母「そう。丁度良かったわね、来週の対決の予習の時間取れるじゃない」
コウタ「え、でも試験…」
コウタの母「勉強は大人になってからでもできるでしょ。チェスの試合は来週なのよ」
コウタ「でも…」
コウタの母「うるさいわね。分かったらとっとと練習してきなさい。」
コウタ「…分かったよ」
コウタの母「まったくいつまで経っても強くなれないんだから。なんでこんな子産んじゃったのかしら」

 ○王宮。ダリル、ひざまづいている。

ダリル「閣下、ご報告致します。こちらの死傷者は計40名です。騎士隊長のニールもやられました」
王「うむ…。」

 ○城の中へ入るリュート。

ダリル「リュート、ナナの手がかりは…」

 ○首をふるリュート。

リュート「やはり手当たり次第に探すしか…」
ジノ「連れ去られた場所は調べたのか?」
リュート「王が調べておいでだが…」
ジノ「我々も調べてみたいが…閣下」

 ○姫の部屋でみんな手がかりを探している。

リュート「申し訳ありません、殿下。このような無礼な真似を…」
王「このような大事じゃ。許そう。」
ダリル「こ、これは…」

 ○リュートを手招きするダリル。

リュート「?」

 ○ダリルが何やら一冊の本を持っている。

リュート「これは?」
ダリル「いいから読んでみろ」

 ○リュートが本を読むと、そこにはナナの直筆で日記が。「騎士(リュートとルビがしてある)のことを想うと胸が苦しい あの人の教えてくれる言葉 文学 歌 どれも素敵なものばかり 私達とても気が合うの 運命の星(エトワル・ファタル)で導かれているみたいに」

 ○リュート、真っ赤になって本を閉じる。ダリルがにまにましている。

リュート「貴様、今どんな事態だと…」
ダリル「まあ待て、問題はその次のページだ」

 ○リュートが次のページを開く。「今日も森で、誰かに見られているような気がした。夢で見たアーカムの研究所と関係があるかもしれない。私たち王家の力を狙っているのかも…」

リュート「アーカム…北の森に住む謎の魔術師だ。まさか姫は…?」
王「アーカム…昔わしを毒殺しようとした事もある男だ。魔法が強くてうかつに手が出せぬ」
リュート「それでも姫のため…参ります!」
王「うむ…頼むぞ」

 ○部屋にいるコウタ。チェスの本はバラバラに床に散らばっていて、作曲やドラムの本がたくさん本棚に並んでいる。ギターもあり、軽音部員だと分かるような部屋。チェスを始めるコウタ。

先生「もう少し自信を持ったらどうだね」
誰か「なにか思い切りが足りないね」

 ○イライラしてきてチェス盤を投げる。

コウタ「何がチェスだ! こんなもの、プロになれないくせに! いや、プロになったって一体なんなんだよ? 毎日毎日ゲームばかりして、見世物にされるだけじゃないかっ!」

コウタ「…はぁっ、はぁ、はぁ…」
コウタの母(遠くから)「どうしたの? なんか音がしたけどー」
コウタ「な、なんでもないよー、心配しないでー」
コウタ「………。」

 ○正座するコウタ。

コウタ「なんで僕は、チェスしかできないんだろう。なんで友達と遊んだりできないんだろう」
コウタ「寂しいよ…。」

 ○ポタッと涙を落とすと、チェス盤がポーッと光る

コウタ「え…!? なに…?」

 ○覗いてみるとフリッグがいる。

フリッグ「少年よ…聞こえますか?」
コウタ「え…?」
フリッグ「心正しき少年よ…世界に…平和を…!」

 ○フリッグ、消える。

コウタ「え? ちょっと! うわぁーーーーーーーーーーーっ」

 ○吸い込まれるコウタ。

 ○目を覚ますコウタ。

コウタ「…う、いててて…。どこだ、ここ…。」

 ○着いたのはけっこう深い森。暗くて、怖い感じ。

コウタ「だれか…いないのー?」

 ○コウモリが飛んできてびっくりするコウタ。

精霊「カタカタカタ…ヒメヲタスケルノ…」
精霊「ケルノ…ケルノ…ケルノ…」

 ○ぼうっとナナの映像が出る

コウタ「えっと…」
白鳥姿のナナ「ピーッ」
コウタ「!?」
ゴブリン「へっへっへっ、もう逃げ場はねぇぜ」

 ○ゴブリン、ナナを追い詰める。

ゴブリン「うまそうな白鳥だ。今夜はごちそうだな」
コウタ「ま、待てっ」
ゴブリン「!? なんだこの小僧は?」
コウタ「白鳥じゃないか、しかも傷ついてる。そんな乱暴な武器でどうするんだ!? 殺すのか!?」
ゴブリン「面倒なガキだな。まとめて殺してやる!」

 ○ゴブリンが剣を振りかざす。

コウタ「うわっ――!」

 ○コウタが目をつぶったとき、リュートが守る。

ゴブリン「ぐわーっ」

 ○死ぬゴブリン。

リュート「…怪我は?」
コウタ「あ、ありがとうございます。あの、白鳥が…」
白鳥姿のナナ「ピーッ! ピーッ!」
リュート「分かった、分かった。痛いんだな。手当てしてやろう。きみはどこの村から?」
コウタ「あ、あの…良かったら連れてってもらえませんか」
リュート「どこの子なんだ?」
コウタ「わからないんです…えっと、なんていうか、記憶喪失? みたいな…」
コウタ(チェス盤に吸い込まれたなんて言ったら、おかしい子だと思われそうだな…)
リュート「まぁ、ここに置いていくわけにもいかんか…何か持ち物を置いて行きなさい。誰かが探しに来た時に分かるように、私の短剣とともに」
コウタ「えっ? うーんじゃあ…」

 ○ポケットをあさるコウタ。するとポケットに1つのチェス駒があった。

 ○場面転換。基地に到着。

リュート「今戻った。モンスターはいない。」
ダリル「なんだ、そのガキは?」
リュート「迷子らしい。しばらく預かる」
ダリル「白鳥なんて食ったことねえな」
コウタ「だ、駄目です! これは食べるために連れてきたんじゃありません!」
リュート「まあ、白鳥は珍しい。美しいしな」

 ○まじまじとリュートを見るナナ(白鳥)。

ジノ「作戦の続きをするぞ。アーカムの研究所へ行くためには、このゴブリンたちの群れを突破しないといけない。しかしゴブリン共、かなり結束力があって強敵だ。どうするか…」
ダリル「決まってる。一匹ずつ倒していきゃいい」
コウタ「え、騎士を3体進めるんじゃないんですか?」
リュート「…なぜだ?」
コウタ「チェスの定石です。このように三体固まっている時は横からこう…相手はこっちに行くと思っていますから奇襲になって…あ、チェスの話ですけどね、これ…」
ジノ「少年の言う事は説得力がある。」
ダリル「え、こんなガキの言うことを?」
リュート「やってみよう」

 ○ゴブリンたちがいる。隠れているリュートたち。向こうから騎士たちが来て戦っており、

リュート「今だ!」

 ○その隙を見て後ろから攻撃する。

ダリル「ひょお! やったな!」
リュート「決して殺すなよ。殺しては彼らと同類だ。終わったぞ、出てきていい、コウタ君」

 ○コウタ出てくる。

リュート「君は我々に足りない知恵を持っている。これは運命かもしれない、どうだろう、私たちと旅をしてくれないか」
コウタ「は、はい…。」

 ○騎士たちの嬉しい怒号(?)に竦むコウタ。

リュート「ハハハ、気性は荒いが根はいい奴らばかりだ、安心したまえ。さあ、行こう」

 ○馬に乗せられるリュート。

リュート「私はサンクトロニエの騎士、リュート・セルファ・ダートだ。」
ダリル「俺はダリル。」
ジノ「私はジノ。我々はさらわれたナナ姫を連れ戻すため、アーカムの研究所に向かっているのだ」
リュート「やつは人間も平気で実験に使う恐ろしい男だ。もしかしたら、もう…」

 ○ジノ回想。どこかの暗がりでアーカムと話している。

ジノ「本当に…リュートの呪いを解いてくれるのか?」
アーカム「いいだろう…但し、お前が姫の動向を私に報告すればな…」
ジノ「…!」
アーカム「さあ、どちらがお前の本当の幸せか選ぶがいい。所詮は他人の姫君か、唯一無二の幼馴染かをな…」

 ○回想終わり

リュート「ジノ、どうした?」
ジノ「! いや、何でもない。見ろ」

 ○湖に到着する。

ジノ「湖だ」
リュート「美しいな。こういう湖には精霊が住んでいる。迂回しよう」
コウタ「わーっ」

 ○はしゃいでほとりまで来るコウタ。それを見ているジノとリュート。

 ○回想再開。

ジノ「…断る!」
アーカム「ほう…」
ジノ「悪人と取引はしない…それに、仲間を売ったりはしない!」
アーカム「なるほど、純粋なる者よ。純粋だけでは大切なものは守れんことを、よく噛みしめるがよい」

 ○回想終わり。

ナナ「ピーッ」
リュート「!」

 ○湖に入るナナ。

 ○なんか美しいシーン。

リュート「綺麗だな。お前を見ていると、姫を思い出すよ」

 ○ナナをなでるリュート。

 ○人間に戻るナナ。当然だけど、裸だよ。
[newpage]
リュート「…姫様!?」
ナナ「やっと戻れましたわ…リュート!」

 ○リュートに抱きつくナナ。

ナナ「わたくし、姿を変えて逃げていたのです」
リュート「ひ、姫様、私は汚れていますので…うっ!?」
ジノ「いかん、姫様、彼から離れて!」
リュート「くっ…」

 ○呪いで顔がアーカムに変わっていく。

ジノ「…リュート!? お前…」
リュート「まさか貴様がナナ姫とはな…初めは研究材料にするつもりだったが、腹が立った。私はどのみちこの国を支配するのだ…、死んでもらう!!!」
ナナ「きゃあっ」

 ○ナナ斬られて倒れる。かばうジノ。

ジノ「姫! やめろ、リュート!」

 ○対峙する2人。

ジノ「アーカムというのは、お前だったのか…!?」
リュート「私はアーカムの細胞だ。こやつに寄生し、時を待っていたのだ…そう、今宵は100年に一度の満月…魔族の力が最も強大になる時までな!!」

 ○戦う二人

ジノ「リュート! 思い出せ、私だ! 幼い頃からの盟友、ジノだぞ! お前が呪いでいつも心を痛めていたことも知っている…」

 ○過去回想開始、秋、幼少期のジノとリュートが野原で遊んでいる。

幼少リュート「こっちはなんだろう?」
幼少ジノ「行ってみよう!」
幼少リュート「でも、村の外は危ないって大人が言うよ」
幼少ジノ「へいきさ、オレたち剣士になるんだから!」

 ○骸骨のようなモンスターあらわる。

アーカム「ほう、村のガキか。姫が産まれたと聞いて様子を見に来たのだ。坊主たち、姫は元気か?」

 ○2人、怖くて声が出ない。

幼少リュート「おじさん、悪いやつだろう!」
アーカム「これはいけないな、顔が怖いからといって悪いとは限らんよ。まぁ…私は悪い奴だがね。丁度いい…」
幼少リュート「うわっ!? な、なにをする! はなせぇ!」

 ○魔法の力で浮かぶリュート。

幼少ジノ「リ、リュート! オレ、おとなを呼んでくる!」
アーカム「ハァッ!」

 ○アーカムがリュートの顔に魔道弾をぶつける。

幼少リュート「うわぁあああっ!!」
幼少ジノ「リュート! 畜生、うおおおおおお!」
アーカム「女の子が汚い言葉を使うものじゃあないなあ」
幼少ジノ「うわっ!! …くそっ…リュート、大丈夫か、しっかりしろ!! リュート!」
アーカム「布石は敷いておいたぞ。これであとは16年後を待つだけさ…」

 ○笑いながら立ち去るアーカム。回想終わり。

ジノ「目を覚ましてくれ、私にいつもの笑顔を見せてくれ、リュート!」

 ○殺されてしまうジノ。

コウタ「ジノさんっ!!!」

 ○倒れると同時に月が陰る。リュート正気に戻る。

リュート「…ジノ!? まさか、私がやったのか!?」
ジノ「うう…リュ…、ト、姫…が…」

 ○リュート、ナナが倒れているのを発見、愕然として近づく。抱き上げて悲しむ。

コウタ「ジノさん、しっかり…」
ジノ「…いい…。元々…奴があの呪いを…受けたのは…私がふざけて…遠くに連れ出したから…いつも…悪かったと…」

 ○ジノ、死ぬ。

 ○町の外。葬列を組んでいる。

 ○馬を降りるリュート。

リュート「みんな、聞いてくれ。私は町には入らない。」

 ○ざわつく兵士たち。

リュート「姫を失ったが…この国を守っていこう。私は今日をもって、隊を降りる。後任はダリル、お前がやれ」
ダリル「へぇ。行くぜ、野郎共」

 ○どこかへ行くリュート

コウタ「リュートさんっ!」

 ○それを追いかけるコウタ。

 ○森。

コウタ「はぁ、はぁ、はぁ…リュートさん、リュートさん!」

 ○リュートを見失うコウタ。

コウタ「おかしいな…」

 ○ガサッと音がする。

コウタ「!!」

精霊「タスケルノ…」
精霊「アナタヲエランダノハ…グウゼンジャナイ…」
フリッグ「助けなさい…助けなさい…」

 ○ぼんやりと女の人がうつる。目をこするコウタ。

コウタ「あ、あなたは…?」
フリッグ「私は『ヴァルハラ』の愛の女神、フリッグ…」
コウタ「め、女神さま…?」
フリッグ「コウタ、よく聞きなさい…今、世界には危機が迫っています。いいえ、昔から世界は滅びに向かっています…私たちの力では、どうにもなりません。人間の傾きは、人間の手て守るのです」
コウタ「ま、待ってください。まさか、僕に何かをしろと…」

 ○うなずくフリッグ。

コウタ「どうして…僕なんか…」
フリッグ「優しさだけでは…世界は救えません…アナタなら…アナタにしか、できないことなのです…たのみましたよ…ワタシたちは、背中を押すことしかできませんが…」

 ○消えていくフリッグ。

コウタ「ま…待ってください! 僕は具体的に何をすればいいんですか?」
精霊「タスケナサイ…」
コウタ「待って…!」

 ○姿の消えた方へ走ると、リュートがいる。川で顔でも洗ってるかなと。

コウタ「リュートさん!」
リュート「君か」
コウタ「考え直して下さい、リュートさん! リュートさんがいなければ…」
リュート「すまない、私には、どうしても…王国を守るなどという高潔な意思は…私は、姫様をお守りするためだけに生きてきたのだ! 姫様がお歓びになる事だけが私の生きる意味だったのだ…姫様がいない未来など…私には考えられぬ…」
コウタ「逃げるんですか!」
リュート「お前になにが分かる!!」

 ○壁…木ドン? するリュート。

コウタ「あなたは僕を傷つけて…自分の役目から逃げるんですか…! 僕だって知らない世界に連れて来られて、怖いし不安だし帰りたい…だけど頑張ってる!」
リュート「役目…。」

 ○木の切り株に座るリュート。木の枝をむしってくわえる。

リュート「おまえの役目はなんだ…?」
コウタ「…わからない…けどここに来るとき、誰かが『世界を平和を』と言っていました」
リュート「世界に平和…か。世界には様々な人間がいる。争うことは絶対に避けられない」
コウタ「うーん…じゃあ、似た者同士だけで集まれば平和になるのでは…」
リュート「そう、かんたんにはいかんさ」
コウタ「…リュートさんなら…できるかも」

 ○コウタをまじまじと見るリュート。そして笑う。そして思い出す

リュート「ナナ姫のご遺体…耳にほくろがなかった。もしかして…」

 ○場面転換。隊列を組んで城に入るダリルたち。

アーカム「ククク…待っていたぞ…」

 ○驚くダリルたち。

アーカム「今日からこの城は私のものだ…」

 ○高笑いするアーカム。よく見ると、手には王の首を持っている。

ダリル「王様! 貴様、よくも王を…野郎共、かかれぇっ!」

 ○怒声とともにアーカムに一斉攻撃をする騎士たち。

アーカム「ハァッ!」

 ○しかし、アーカムの魔法で全員返されてしまう。

騎士たち「うわああああっ」
アーカム「わざわざナナ姫の死体を持ってきてくれたのか? では、これと並べて吊るそう」

 ○王の首をかかげるアーカム。ところでアーカムって東映の特撮の悪役みたいな感じだといいな。

ダリル「畜生…アーカム貴様許さんっ!!!! うおおおっ」
アーカム「ふん!」

 ○剣でふっ飛ばされるダリル。剣が飛ばされる。

ダリル「うぐぁぁっ」
騎士「ダリル様!」
アーカム「くくく…」

 ○アーカムが棺のふたを足で転がし、ナナの死体がころがり出てくる。

アーカム「どりゃあっ」
ダリル「ナナ様!」

 ○アーカム、ナナ姫の首を切断しようとすると、死体がパンと弾けて消える。全員「!?」

アーカム「これは…幻術か! 探せ! あの女を探すのだ!!」
魔物たち「ピー!」

 ○雨の森。ナナがボロボロになってよろけながら走っている

ナナ「はぁ…はぁ…」

 ○転ぶナナ。また走り出す。

 ○モンスターに出会い、悲鳴を上げながら逃げる。

 ○よろよろとへたり込む。馬車が通りかかり、泥がはねる。

御者「そんな所でヘタってんじゃねえぞクソアマ!」
ナナ「はぁ…はぁ…」

 ○喉の渇きに耐えかねて、泥水を飲むナナ。

ナナ「もう…だめ…リュート…」

 ○序盤でリュートとコウタの置いてったものを拾うナナ。

ナナ「! これは…」
アーカム「見つけたぞ、ナナ姫…」

 ○森全体がアーカムであるかのような声の響き、目がそこかしこに。

アーカム「私を欺こうとは笑止…」
ナナ「殺したいなら殺すがいい…ですが、人を殺して得た未来など幸福ではないぞ!」
アーカム「カカカ…ワタシには幸福など分からないね…」
ナナ「お前に殺されるくらいなら…!」

 ○ナナ、落ちていた短剣(リュートが置いてったやつ)を喉元に。

アーカム「死ねーーーっ!!!」

 ○リュート、アーカムの剣をはじき返す。

ナナ「…! リュート!」
リュート「姫、ご無事ですか…」
ナナ「ええ…」
アーカム「また現れたか小僧…いいだろう、二人まとめて地獄に葬ってやる!」
リュート「どこからでもかかって来い! 貴様などに負けはしない!」
アーカム「ほあああああああああ!!!」
リュート「おおおっ!」

 ○カキーン 剣のまじわる音

アーカム「ふんっ!」

 ○アーカムが魔法を使い、リュートがはじき返される。

リュート「ぐはっ…」
ナナ「リュート!」
コウタ「リュートさんっ!」

 ○アーカム、じりじり迫ってくる。

アーカム「これがお主の最後だ…。最後に勝った者が正義なのだよ!!!」

 ○アーカムが振りかぶると、ナナの持っていたチェス駒が光る。

アーカム「!? なんじゃ!? この…光は…吸い…込まれる…ギャアーーーーーッ!!!!!!」

 ○チェス駒に吸い込まれるアーカム。呆然とするナナ。

リュート「姫!」
ナナ「リュート! ああ、ごめんなさい、私…」

 ○ナナの手の中のチェス駒が黒く光る。

ナナ「!?」
コウタ「ふたりとも、はなれてください。ここからは僕がやります…」

 ○そう言うとコウタの目の前にチェス盤が広がる。相手は勝手に動く。コウタはそれに応える。

コウタ「強い…けど負けない、今だ、チェックメイト!」

 ○チェス駒がシューと音をたてて消える。

リュート「やった!」
ナナ「わぁっ」

 ○手を取り合って喜ぶ二人。

リュート「あっ、姫、なりませぬ、呪いが…」
ナナ「アーカムは退治されました。もう、大丈夫のはずです。顔の呪いも…」

 ○顔に触れるリュート。ただれが消えていて、驚いている。

ナナ「ふたりとも、あなた方を欺いたこと、許してください。あの場ではああするしか…」
リュート「私こそ、姫にあんなことを…罰は何でも受けます」
ナナ「ならば…私を城まで連れて行きなさい」
リュート「はっ」

 ○アイコンタクトするナナとリュート。ナナとコウタ、馬に乗る。

ナナ「帰りましょう、我らの国へ!」

 ○戴冠任命式。リュートとナナ、めかしこんでおり、フクロウに吊るされた籠に入って飛んでいる。

ナナ「今日ですね、騎士隊長の任命式は」
リュート「はっ。ありがたきしあわせです」
ナナ「見て、みんな見ているわ」

 ○手をふるナナ。手をふる子供とか。リュートはまたそんなナナを見ている。

ナナ「リュート」
リュート「は、はい。」
ナナ「聞きました」
リュート「え…」
ナナ「一度隊を辞めたとか…」
リュート「あ…それは…その。勝手なことを…申し訳ありません。」
ナナ「…リュート。これからは私一人で王家の仕事をしなくてはならないわ。とても…とても大変よね」

 ○リュートを見るナナ。

リュート「姫様。私は…どんな時も、あなた様をお守りすると誓います」
ナナ「ありがとう。あなたこそ本当の勇者です」
リュート「…いえ、本当の勇者は…」

 ○はっと気づきコウタを見ていないことを思い出す。ここから探すが、見当たらない。リュート、見上げる。空かなんかにカメラうつって、そのままカメラ下ろすと東京の町。

 ○コウタ、部屋で突っ伏して寝ている。もう朝だった。チェス駒が散らばっている(アーカムのチェス駒だけない)。起きると、チェス盤が割れている。

コウタ「…?」
コウタ母「コウタ、いつまで寝てるの? 遅刻するわよ!」
コウタ「え…? 夢かぁ」

 ○時計を見る。

コウタ「あ!」

 ○降りてきてあわてて朝食を食べるコウタ。

コウタ母「今日も早いんでしょ?」
コウタ「うん。けどお母さん、僕もうチェスはやらないから」
コウタ両親「!?」
コウタ父「何だと!?」
コウタ「僕、ミュージシャンになるんだ。いってきます!」

 ○ドアを開けると、広瀬がいる。

広瀬「よぉコウタ、おはよ」
コウタ「広瀬くん…。(満面の笑みで)おはよう!」
広瀬「…! コウタ、お前…」

 ○コウタの、憑き物が取れたような笑みに、成長を感じて感動する広瀬。ふっと笑う広瀬。

コウタ「行こう、広瀬くん!」

 ○登校していく二人の後ろ姿。

 ○コウタの部屋。どこからともなく(多分チェス盤から)アーカムを封印した駒が落ちて、黒い闇をまとう。

<End>

ラベルの解説(文字の大きさに意味はないです(なんか勝手に大きくなる))

言葉ベース
・AIEN≒ヘルズクイーン≒one-way=ルナ=盲目少女と吸血鬼=きゅうけつき

キャラクターベース

・悪役令嬢と神父=あくしん=あくぼく=いじうけ=誤解
・◆=悪役令嬢と猫=あくねこ=ロイジャペア=ターニア=トハ
・超能力者が入院する話=ETK=dr.ソロモン
・横井=VRChatの話
・建築の話=建築家とロボット
・BL2
・ですわけ
・テイマー
・ヒーロー部
・ソラヲトブ(-6なのに-3とくっつくから)
・小牧=オメガバース1=-3=植物ミステリ2=ツマミの話(小牧が低すぎる)

その他

・昼=排卵後=朝=プロゲステロン有り=オキシトシン無し=礒原
・排卵前=プロゲステロン無し=オキシトシン有り=久米
・ちかのこ=けもらいず=サンブライズ=バーチャライズ
・過去=かこ=essay=エッセイ
・photo=構図
・こじ=こじらせ、ス=スキ=スキゾタイパル、強=強迫、境=境界、回=回避、反=反社会、自=自己愛
・みんあつ

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