幸いあれから、特に殺人犯を僕と特定した報道はなかった。悪人だったーー死んで当然だーーいや、死ぬべき人間など一人もいない、僕はーー人を救うのが仕事なのにーー
「あれ? きょうはオッドアイじゃないんだ」
「あれは事情があってつけてたコンタクトだ」
オッドアイって差別用語だな…
マルチカラー
色違い
パンドラだとばれてなくてもいいな殺人
こんなところで二人っきりのところを誰かに見られたら噂になるよ
――でも――あなたに――見てほしいの――だめかな
あなたの手は、あたたかくて…やさしい…
きみは尊敬と恋を一緒にしている――
同じものだもん――
パンドラ様とお友達になれるならあたし、アイドルをやめても…
侵していたのは僕だった――
彼女を守れる自信がない――
パンドラを取るか、彼女を取るか――
殺すか?
「違う」
彼の叫び声が、心にこだまする。
これは、なんだろう?
否定された悲しみか、それともくやしさ?
「瑞穂、こんな所にいたの」
マネージャーが、私を呼んだ。
「これからひとつ仕事ができた。来てちょうだい」
「は…はい。どんなお仕事ですか?」
「来れば分かるわ」
終わりにおそわれるまっつん
車の中で、マネージャーが仕事について説明してくれた。
「これから東方レコードの社長に会うの。あなたには接待をたのみたいのよ」
「東方レコードの社長に? うわぁ、うれしい! 楽しみだなぁ。あたしを雇ってくれたお礼をしたいなぁ」
「そうね、たっぷり礼をするといいわ」
「うんうん、本当にかわいいね。脱がせたくなるなあ」
それからーーズボンを下げ、あたしの顔を下半身に押し付けた。
「な、なにするの!?」
「舐めなさい」
「やーーいやーー離して!」
「おいおい、断るのか? お前みたいな頭の悪い女が、ただ何の苦労もなしに生きていけると思っているのか? さあ、舐めてみろ、うまいぞ」
「い、いや…」
「舐めなきゃ、もう貴様には仕事はやらん!! 知ってるぞ、お前の手術費や学費で、親の家計は火の車、父親はおらず、母親も病気だとな。育ててくれたお母さんを、寒空で路頭に迷わせたくはないだろう? かんたんじゃないか…ちょっと舌で舐めるだけでいい。そうしたら、食べてみればいい」
「そんなにいやなら…もうはめてしまおう」
「何するの!? やめて! やめてぇ!」
「処女の悲鳴ほど、興奮するものはないねえ」
「誰か…助けて…」
「助けてくれる奴なんかいない。この町の全ての人間は、おれ様の味方だからな」
パンドラ様はーーきっと、来てくれない。
ああ、あたしを助けてくれる人は、どこにも、誰もいないんだーー。