登場人物
ホルン・べネット 「ソウルハンター」。心臓は持ってる竿に串刺しにして運ぶ。
ビャク ドラゴン。
老婆
ドラゴン ドラゴンユニオンの長老。
ゾロ
ポプリ
○灯篭が灯っている室内に、老婆が横たわって、そのそばにホルンとビャクが座っている。老婆は息を引き取り、ホルンが老婆の胸を切り開いて心臓を取り出す。心臓には「赤い」炎がまとっている。
ホルン「なんて綺麗な色だろう。なぁ、ビャク」
ビャク「ああ」
○村を去るホルンを遠巻きに眺める子どもたち。遺族は頭を下げている。ホルンが手をふると隠れたり逃げたりする。
○町。
売人「さぁらっしゃいらっしゃい、新鮮な心臓はいかがかね、青いのは40、緑は20だよ! さぁらっしゃいらっしゃい!」
○ホルンがやって来る。
ホルン「バルクさん」
売人「おおべネットか。よく来た。お前さんのならなんでも買うよ」
○竿を見せるホルン。
ホルン「きょうの収穫、赤1つに青2つ」
売人「じゃ全部で200シロンだな。」
○お金を受けとるホルン。
ホルン「ありがと、バルクさん」
売人「そうだ、べネットよ、その、なんだ、今度から遺族の署名みたいなのくれねえか?」
ホルン「遺族の署名?」
売人「帝国からのお達しで、ちゃんと寿命を終えたソウルかどうか検査するらしい。最近殺し屋みてえなハンターも増えてるからな」
ホルン「わかった、心がけるよ」
売人「へへっ、すまねえな」
○砂漠を歩いているホルン。
ビャク「ねぇ、なんであんなできもしないこと請け負ったんだい? そりゃたしかに、さっきのばあさんみたいに金に困って家族の心臓を売る人もいるが、普通遺族がいれば遺族で食っちまう。あんたが狩るのはほとんどが無縁仏じゃないか」
ホルン「帝国からの命令だ、しかたない」
ビャク「たぁ~~~、しかたない、しかたない、しかたない。アンタのオハコだね。きみには夢とか、望みとか、ないのかい?」
ホルン「う~ん…。」
ビャク「はーっ、ぼかぁたまに、なんできみなんかと組んでるのか分からなくなるよ。ま、うまい心臓にありつけるからだけども、そんなに嫌ならべつの国に行きゃいいだろう、どこだって食うものは同じ、体の構造も同じじゃないか。そうだ! この際人間はやめて、ドラゴンのソウルハンターになろう! 北の渓谷にはまだドラゴンがたくさん住んでいるらしい!」
ホルン「きみもドラゴンなのに、よくそんな事が言えるね…。それにやはり人間でないと、なかなか『赤』が採れないし、ドラゴンの体内の構造はよく知らないし」
ビャク「ドラゴンをバカにすんな、人間なんかよりよっぽど賢いんだ、ソウルは『赤』ばっかりだよ」
ホルン「そうなの? アルメにはドラゴンがいなかったから、実はよく知らないんだ」
ビャク「なら北だ、とっとと行こうぜ」
ホルン「ええ? なんだか怖いなぁ…」
ビャク「天下のソウルハンターが何言ってんだ」
ゾロ「あんた、ソウルハンターなのか?」
○ゾロを見るホルン。
ホルン「そ、そうですけど」
ゾロ「丁度いい、ライバルも減って一石二鳥だなっ!!」
○攻撃してくるゾロ。
ホルン「な、何するんですか!」
ビャク「ホルン、こいつ、噂の『殺し屋』ハンターじゃないのか!?」
ゾロ「寿命なんか待つより殺したほうが早いぜ!」
○攻撃してくるゾロ。
ホルン「あの、知ってるとは思いますけど、殺人は法律で禁止されていて」
ゾロ「知るかァ!!」
ホルン「うわぁっ」
○戦って勝つホルン。
ホルン「はぁ、はぁ、はぁ。今のは正当防衛だから、しかたない。さて」
○胸を開き、心臓を取り出すホルン。色は緑。
ビャク「やっぱり最低ランクだね」
ホルン「ビャク、めったなこといわないの。彼だって懸命に生きたひとつの命なんだから」
ビャク「いくら綺麗事を積み上げても、売値がその価値を端的に物語っているだろ。『緑』の売値は10シロンだぞ、10。味もドブネズミみたいな味だ」
ホルン「まあね」
○首をかしげながら、竿に心臓を刺すホルン。
○夜、さっきの心臓を焼いているホルン
ビャク「ねぇ、それほんとに食べるの?」
ホルン「仕方ないさ、ほかに収穫がなかったんだから。そろそろ焼けたかな」
○心臓を頬張るホルン。ゾロの記憶が甦る。奴隷の記憶。
男「おらぁ、さっさと歩けぇ!!」
男「お前らに食わせるメシなんざねぇんだよ!!死ぬまで働け!!」
ゾロ「はぁ…はぁ…はぁ…」
ホルン「うっ…」
○吐くホルン。
ビャク「あ~あ、ほらだから言ったのに」
ホルン「はぁ、はぁ。けど、緑がまずく感じるなら、少なくとも僕は青以上だってことが分かったよ」
ビャク「ホルンには僕という仲間までいるんだから、黄色は行ってるよ」
ホルン「…ソウルの色って、どうやって決まるのかな。ランクが下がることもあるのかな。ドラゴンなら分かるかな?」
ビャク「さあね、聞きに行ってみれば?」
○ドラゴンの目の前に行くホルン。
ホルン「ドラゴンさん、質問があるんです」
ドラゴン「何だろうか、命短き者よ」
ホルン「ソウルの色は、どうやって決まるのでしょうか?」
ドラゴン「ふむ…それは、『強さ』と『優しさ』じゃ」
ホルン「心の強さと優しさ…」
ドラゴン「心の強さ、知識、全てを備えると、オレンジのソウルになる。優しさも兼ね備えると、赤いソウルになるのじゃ。」
ホルン「じゃ、ランクが下がることもあるんですか?」
ドラゴン「もちろんある。怒りや憎しみ、悲しみ、老いなんかがかかわってくる。しかし、これも運命かのう」
ホルン「えっ」
ドラゴン「ソウルハンターが来るのは珍しいことじゃ。どれ、わしもかなり長く生きたことだし…そろそろ休むとするかのう…」
○スヤァとなるドラゴン。
ホルン「ち、長老…!?」
○おそるおそる、脈をとるホルン。深刻な顔で…
ビャク「し、死んだのか? こりゃあいきなり大玉に当たったな。おい、どうなんだよ」
ホルン「…生きてるよ」
ビャク「ガクッ!!!」
○寝袋で抱き合って寝るホルンとビャク。
ホルン「おやすみ、ビャク」
ビャク「おやすみ、ホルン。ねえ、ホルン」
ホルン「何だい」
ビャク「ボクが死んだら、悲しいかい?」
ホルン「きっと、ソウルのランクが下がるくらいには」
ビャク「それって、悲しい?」
ホルン「とても悲しい」
ビャク「そっか…僕もだよ、ホルン。…ホルン?」
○寝ているホルン。
ビャク「おやすみ、ホルン…。」
○翌朝、マントをつけながら
ホルン「やっぱり、隣国に行こうと思う。あの国は『地獄』と呼ばれていたけど、娘に政権が渡って以来は、いい国になっているらしい」
ビャク「じゃ、極楽な地獄だね」
ポプリ「あら、こんな所に人がいるわ」
○ポプリ、こっちに来る。
ポプリ「あなた達、もしかしてソウルハンター?」
ビャク「そうだけど、あんたもか?」
ポプリ「そうよ、あたしポプリ、よろしくね」
ホルン「よろしく」
ビャク「おいおい、まさかお前も、最近増えてる『殺し屋』じゃねーだろーな」
ポプリ「やだぁ、あたしが殺人なんて、する訳ないじゃない! ドラゴンは別だけど」
ホルン「え?」
○銃声が響いて、ビャクが倒れる。
ホルン「ビャク!!」
ポプリ「人間と仲良しのドラゴンなんて、きっとおいしそう。皮まで高く売れそうだわ」
ホルン「ビャク!! ビャク!!」
ビャク「う…ホルン…」
○きっと睨みつけるホルン。金袋を投げる。
ホルン「彼のソウルは僕が買う。200シロン入ってる」
ポプリ「物分かりがよくていいわね。じゃあね、優しいハンターさん」
○ポプリが去る。膝をついて、ビャクを撫でるホルン。
ホルン「ビャク…本当に死んでしまうのかい? きみがいなきゃ僕は…僕は…そうだ、このままソウルが下がってしまうくらいなら…僕も死のう」
○手首を切るホルン。ビャクの横に寝る。
ホルン「ビャク。僕は優しいって言われたよ。もしかして、今なら赤いソウルかもしれないね。ねえ、ビャク、ぼくの夢はね、きみといっしょに死ぬことだったんだ。ああ…頭が痛く…胸が…苦しいや…でも…幸せだったよ…それが一番さ…そうだろう? ビャク…」
○ポプリ、長老のもとへ行く。
ポプリ「ここがうわさのドラゴンバレーね! たしかに金づる…あいやドラゴンがうじゃうじゃいるわ」
ドラゴン「お前さんは、何者だね?」
ポプリ「あたしはドラゴンハンター、ポプリ。あなたを殺しに来たわ」
ドラゴン「ほう、お主、ドラゴンソウルハンターかね」
ポプリ「ええそうよ。さっきもここに来る途中、ソウルハンターの使い魔のドラゴンのソウルを売ってきたわ。」
ドラゴン「ビャクじゃ」
ポプリ「はい?」
ドラゴン「彼が名を付けた、名はビャク。彼はビャクの心臓を食べたのかの」
ポプリ「さあ、見てないわ」
ドラゴン「心臓を食すと、その者の記憶をすべて知ることができる。心臓を食すことで、永遠にともに生きられるのじゃ…早まらないといいがのう」
ポプリ「心配しないで…あなたのソウルも、雅なお方に食べてもらうから」
ドラゴン「ほっほっほ…命は繋がる…繋がってこそ希望があり…夢ができ…幸せを感じるのじゃ」
○銃声
引き