ほんの小さい頃から、自分が「周囲」と違う、という事は分かっていた。
どう違うのかは、分からなかった。
目に見えて違う所もあった。
まずは「親の年齢」。
僕が生まれたのは父が48、母が40の時だった。
そこから来る、資金の差。
僕の家は僕が小さい時が一番裕福で、周りの親はまだ働き盛りだった。二世帯の広めの家があり、おもちゃにも事欠かない。一人で楽しむのに充分な環境が整っていた。
世代の差。
当然、話題が合わない。家で見ているチャンネルが違うのだ。我が家はもっぱら火サスや古畑、相棒ばかりで、バラエティのようなやかましい番組は一切見ない。百歩譲ってふしぎ発見、本当は怖い家庭の医学くらいだ。
そして、言葉遣いの差。
父も母も古風な言葉を使うし、若者言葉を使わない。当然、語彙が偏る。友達の知らない言葉を知っていて、友達の知っている言葉が分からない。馴れ馴れしい今風の言葉遣いにできない。
体つきも違う。背が高くて、がっしりしていた。「女の子」という感じではない。肩幅もわりとあって、親の友達に「娘さんって聞いてたんですけど・・・がっしりした方ですね」って言われた。いや、太ってるとか、よくあるドイツ系の人みたいな横幅のある体型とかそういうんじゃないけどね。
僕にとって、「人と違う」のは当たり前だったので、ことさらそれで悩むようなことはなかった。
僕は就活で何百社も落ちるまで、「他人と違う」ことを悩んだことは一度もなかった。
「違う」ことは当たり前で、それは自分のひとつの「手札」でしかないと思っていた。
それに、障害でもないのに、違うという理由だけでやらないのは、甘え以外の何物でもないと思ったから。
「違う」ということから、目を背けた。
正確には、「劣っている」ことから。
「劣っている」ことは「個性」と言い聞かせ、考えないことにした。
「違う」のはすべて、「親の年齢が違うから」だと言い聞かせて。
そうして考えないようにした結果が勉強であり、創作だった。
「自分」のことを、考えるのを一切やめた。
幸い、漫画家であれば、「自分」を持っている必要はない、と考えて。
現実から逃げて、逃げて、逃げることで、結局しわ寄せされた現実が、耐え切れずに僕に襲い掛かった。
寝る間も惜しんで「努力」した、そう思っていたのは実は、「寝る事からも逃げていた」だけなんだと。
問題は、両親がなぜそこまで「婚期が遅れたか」なのだ。
父に至っては一度奥さんに逃げられて子供まで取られてる。消息すら不明、すなわち連絡さえ取りたくないと思われているという事なのだ。
冷静に考えて、両親のおかしい所を考えてみてごらん。
やはりあの「我の強さ」にある、に違いないじゃん。
聞く耳を持たない、自分の考えが絶対に正しい、ミスを反省しない、上から目線、わがまま。
スキゾタイパルなのかな・・・・自己愛なのかな・・・。
子供の頃はずっと、「年を取ると頑固になるから」で済ませてた。
僕はずっと黙って、黙って、我慢して。
冷静に考えて、僕の人生で一番おかしいのは、そこだと思う。
父も母も、「普通」の生まれではない。
父は生まれつきの心臓病で、母は実家で虐げられていた。
発達障害?だから何?
確かに勉強で、できないことはある。
同一性保持もあるかもしれない。
ADHDはきっとあるだろう。
何が言いたいかと言うと、僕の世代でとうとう決壊したってことなんだよ。
何が言いたいのかと言うと、僕はずっと「孤独」だった。
それを当たり前だと思い過ぎたんだ。
ずっと孤独で、誰とも笑わなくて、それで人生終わらせられると思い込んでいた。
元々は漫画家じゃなくて、webコンテンツを作る会社でも立ち上げて広告収入しようと思ってた。当時はもうアフィリエイトで月収200万なんて人はいたし、本にも「やればやるだけ返ってくる」と書いてあった。だけどお金も仲間もいなかったから諦めて漫画家を目指すことにした。
就職、という発想がなかった。
僕にとって就職は、「いつか世界一周できたらいいね」くらいに、現実味のないものだった。僕の人生に、就職という道が、ずっと昔からもうなかった。
諦めるのが早すぎたのは、親を見てたからだろうか?
大人は誰も聞く耳を持たない。だから、お金は「働いて貰う」ものではなく、「儲ける」ものだ、という思考形態が、中学の頃にはもう出来上がっていた。みんポケは、その第一歩のつもりだった。自分が、誰かに認められて、雇われるなんて有り得ないと思ってたし、そうする必要もないと思ってた。
自分が生きる道は、自分で作ろうと思ってた。
でもそれは、全て「考えないようにしていた」結果だった。
就職をやめた時から、僕は僕のことを考えるのをやめた。
生きてさえいければいいと思った。
だけど生きるのは、「逃げる」ことじゃなかった。
僕の「生きる」は、夢の世界に「逃げる」ことでしかなかった。
漫画を描くのも、現実の僕の肉体だってことを、忘れてた。
考えないようにしてた。
生きることばかり考えて、生きることを考えないようにしてた。
何が言いたいのかと言うと・・・。
僕は障害者だったってこと。
障害を誤魔化すことで、余計泥沼にはまっていったということ。
僕は生きなければならないと、言い聞かせすぎたという事。
つまり、頑張りすぎたということ。
人間の肉体の限界を、無視したということ。
辿ればすべて、僕が人より「劣っている」だけの話なのに。
いわゆるあれだ、負のループ、ゴミくずを転がしてたらゴミがどんどんくっついて、次第に巨大なゴミになって、ゴミ箱に入らなくなったみたいな。
いや、なんの話って・・・。
交友関係の話、かな?
自分の悩みなんて大したことない、大したことないと、
思い込んでいた結果、
まあようするに、なんで無視されるんだろうってことよ。